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熊田 高之; 中川 洋; 三浦 大輔; 関根 由莉奈; 元川 竜平; 廣井 孝介; 稲村 泰弘; 奥 隆之; 大石 一城*; 森川 利明*; et al.
Journal of Physical Chemistry Letters (Internet), 14(34), p.7638 - 7643, 2023/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Physical)スピンコントラスト変調中性子小角散乱法を用いて急冷したグルコース濃厚溶液中に生成するナノアイス結晶の構造解析を行ったところ、厚さ1nm程度、半径数十nm以上の平面上の氷晶が生成していることを見出した。本結果はグルコース分子が特定の成長面に吸着することによりその面からの結晶成長を阻害していることを示す。
宮川 鈴衣奈*; 上林 大介*; 中村 浩隆*; 橋田 昌樹*; Zen, H.*; 染川 智弘*; 松岡 健史*; 小倉 広之*; 寒河江 大輔*; 瀬戸 雄介*; et al.
Scientific Reports (Internet), 12, p.20955_1 - 20955_8, 2022/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Multidisciplinary Sciences)大型放射光施設(SPring-8)にて原子力研究機構が有するビームラインBL22XUの応力イメージング装置を用いて、レーザー誘起周期構造(Laser-Induced Periodic Surface Structure: LIPSS)の結晶評価を行った。測定対象のLIPSSは、Ti:Sapphireレーザー(波長800nm)とMIR-FEL(中赤外自由電子レーザー:波長11.4m)の2種の近・中赤外フェムト秒レーザーを用い、Si基板上に形成された。これらのレーザーは波長の違いの他、レーザーパルスの構造に違いがあり、その違いが形成されるLIPSSの構造に与える影響があることが分かった。放射光XRDにより、Ti:Sapphireレーザーによって形成されたLIPSSは、転位などの欠陥は発生せずに結晶性を維持するものの残留歪が存在することが判明した。一方、MIR-FELによって形成されたLIPSSは、残留歪はないものの転位などの欠陥が発生していることが分かった。これらの結果から、LIPSSを形成する光源レーザーの選択により、結晶状態の異なるLIPSSが得られることが分かった。これらの情報は、今後のLIPSSの機能的応用に向けた取り組みにおいて、有用な情報となりうる。
湯口 貴史*; 小北 康弘; 加藤 丈典*; 横田 倫太郎*; 笹尾 英嗣; 西山 忠男*
Journal of Asian Earth Sciences, 192, p.104289_1 - 104289_16, 2020/05
被引用回数:5 パーセンタイル:32.38(Geosciences, Multidisciplinary)本研究は、花崗岩質マグマから晶出した石英を用いて、石英の生成メカニズムや結晶化温度からマグマ溜りの冷却プロセスに関する熱的変遷を論じた。本研究では、中部日本の土岐花崗岩体に産出する石英に着目し、(1)石英粒子の形状や産状の情報、(2)石英の結晶内部構造を反映するカソードルミネッセンス(CL)パターン、及び(3)石英中のチタン濃度から算出した結晶化温度を取得することで、石英の連続的な成長様式に関する新知見を得た。土岐花崗岩体の石英は、複数のCLパターンに区分できる。それらのCLパターンの相違は、メルト(マグマ)の温度やメルト中のチタンの拡散性に依存する。石英のCLパターンと結晶化温度条件から、土岐花崗岩体を形成したマグマの冷却温度条件を詳細に区分した。本研究により、マグマ溜りの詳細な熱史の解明に石英を用いたアプローチの有用性が示された。
朝岡 秀人; 山崎 竜也*; 社本 真一
日本結晶成長学会誌, 32(3), P. 160, 2005/08
水素終端Si基板上へのSr薄膜の初期成長プロセスについて評価を行った。その場観測によって、2原子層目のSrの蒸着時にSi基板と、バルクの結晶格子を持つSr薄膜に起因するRHEED回折像を同時に得た。つまり1原子層の極めて薄い界面を経た結晶成長が実現している。その成長メカニズムを内部応力測定とともに検討する。
朝岡 秀人; Cherepanov, V.*; Voigtlnder, B.*
Surface Science, 588(1-3), p.19 - 25, 2005/08
被引用回数:24 パーセンタイル:67.04(Chemistry, Physical)Si(111)表面上でのSi, Geの成長初期過程に現れる微小クラスターは、その存在範囲を77単位格子内に限定され配置されるため、ナノ物質創製の観点から注目されている。しかしながらそのクラスターに内在する原子数の測定はSTM探針先端の形状に左右されるため過大に評価される傾向があり、これまで体系的な評価がなされなかった。そこでわれわれは内在する原子数をSTMで観察されるサイズによらない評価法を用いた。表面構造,元素の違いによるクラスターサイズの影響を評価するためにSi(111)-77表面のほか、Si(111)面上にGeエピタキシャル成長させたウエッティングレーヤGe(111)-55表面,高さ10bilayer程の3Dアイランド上に現れるGe(111)-77表面を使用した。Si(111)-77表面のSi, Geそれぞれのクラスター内には平均8.3個,7.5個の原子が存在し、元素の違いによる大きな差が存在しない。またGe(111)77単位格子に対しておよそ半分の面積であるGe(111)-55単位格子内の原子数はGe(111)77表面上と比較しほぼ半数になっており、クラスター範囲を限定する表面単位格子に大きく影響されていると考えられる。
鈴木 拓*; 高野 秀和*; 竹内 晃久*; 上杉 健太朗*; 朝岡 秀人; 鈴木 芳生*
X線分析の進歩,36, p.249 - 257, 2005/03
磁性材料・機能性材料が持つ物性と、サブナノから十数ナノメートルオーダーのドメイン構造との相関を調べることを目的とし、回折speckle像観察法の開発を目指して実験を行った。試料にはYBaCuOのas-grown単結晶試料とO雰囲気下アニーリング単結晶試料を用いた。(006)反射スポットをCCDカメラで撮影した。液体窒素吹き付け冷却により、RTから86Kの範囲で実験を行った。RTではドメイン構造があまり観察されなかったが、冷却に従ってドメイン構造が強くなり、配列はランダム状を示した。超伝導転移点付近で配列は急に整列に向かい、超伝導状態では強いドメインが整列している様子が観察された。本法は現時点では未だ技術的課題を多く残すが、ドメイン構造に関する情報を得ることが可能なため、機能性材料の開発研究に対し、有意な情報をもたらすと思われる。
Huang, X.*; 真下 茂; 小野 正雄; 冨田 健; 沢井 友次; 長壁 豊隆; 毛利 信男*
Journal of Applied Physics, 96(3), p.1336 - 1340, 2004/08
被引用回数:11 パーセンタイル:42.77(Physics, Applied)本研究では、超重力場下の結晶状態の変化を調べるために、BiSb合金とBi単体について固相状態の温度で100万Gレベルの超重力場実験を行った。191-205Cで超重力場処理後の試料は組成の変化が見られなかったが、結晶粒径が数mmから数10mまで微細化された。同じ条件で処理したBi単体試料は結晶粒径が変化しなかった。220-240Cで処理後の試料は二つの領域を示している。弱い重力場領域では、結晶が数10mまで微細化されたが、強い重力場領域では、原子の沈降による組成変化が起きたほか、結晶が重力方向に沿って成長し、その長さが数mm程度に達している。成長した結晶はかなり歪んでおり、その歪みが重力の強い方向に沿って増大していること、また、六方晶のc軸が重力方向にほぼ平行になっていることがわかった。この特殊な結晶状態の形成は原子の沈降によるものと考えられる。
朝岡 秀人
KEK Proceedings 2004-5, p.52 - 53, 2004/08
高集積化,多機能化が進む集積回路ではこれまでの材料の物理的限界が指摘されている。そして新たな物質検索を困難にさせているものが、ヘテロ成長における基板と機能性薄膜間での結晶構造,化学結合様式,熱膨張率などの物質固有特性の不一致である。本研究では、鍵をにぎると考えられるヘテロ界面の制御をSi基板表面の不活性化を通して試み、その界面の解析と、そこに存在する新たな結晶成長機構を明らかにすることを目指している。これまでに化学結合が露出するSi接合界面に水素終端処理を行うことによって格子不整合度による成長物質の制約が緩和され、不整合が12.0%と大きいためこれまで良質な薄膜が得られなかったSiとSrとの物質間で、ヘテロエピタキシャル成長に成功している。得られた薄膜の特性は遷移層を経ない基板表面への直接成長が可能であること,一般のSi基板上での成長と比較し、内部応力が小さくなり数原子層目からバルクの格子定数を有するストレスフリーの薄膜が成長したことを確認した。現在蒸着後の水素自身の挙動に注目し、中性子反射率計などを用いた評価を試みており、水素界面がもたらす新たな成長機構の解明を行っている。
Paul, N.*; 朝岡 秀人; Voigtlnder, B.*
Surface Science, 564(1-3), p.187 - 200, 2004/08
被引用回数:7 パーセンタイル:37.69(Chemistry, Physical)サーファクタント(界面活性剤)としてのBiの有無によるGe/Si(111)ヘテロエピタキシー成長機構の違いについて比較検討を行った。Geの格子定数はSiと比較して4%大きいためGe/Siヘテロエピタキシャル成長を行った際にストレスが生じ、成長形態に大きな影響を与える。第3の元素として用いたBiはSi基板上のGe成長時に表面偏析しサーファクタントとして作用する。Biの有無にかかわらずいずれもストレスの存在する2次元成長がはじめに見られるが、Biの存在するものはそのまま2次元成長を続け、Biのないものはその後3次元アイランドを形成してStranski-Krastanov(SK)成長モードに変化しストレスを解消する。サーファクタントによる2次元成長は平衡状態にいたる以前に原子の交換がうち切られるカイネティックな制限により生じると考えられる。
Paul, N.*; 朝岡 秀人; Mysliveek, J.*; Voigtlnder, B.*
Physical Review B, 69(19), p.193402_1 - 193402_4, 2004/05
被引用回数:21 パーセンタイル:67.1(Materials Science, Multidisciplinary)サーファクタント(界面活性剤)としてのBiの有無によるGe/Si(111)ヘテロエピタキシー成長機構の違いについて比較検討を行った。Geの格子定数はSiと比較して4%大きいためGe/Siヘテロエピタキシャル成長を行った際にストレスが生じ、成長形態に大きな影響を与える。第3の元素として用いたBiはSi基板上のGe成長時に表面偏析しサーファクタントとして作用する。Biの有無に関わらずいずれもストレスの存在する2次元成長がはじめに見られるが、Biの存在するものはそのまま2次元成長を続け、Biのないものはその後3次元アイランドを作製してStranski-Krastanov(SK)成長モードに変化しストレスを解消する。サーファクタントによる2次元成長は平衡状態に到る以前に原子の交換がうち切られるカイネティックな制限により生じると考えられる。
Wang, W. H.*; 岡田 卓; Wen, P.*; Wang, X. L.*; Pan, M. X.*; Zhao, D. Q.*; 内海 渉
Physical Review B, 68(18), p.184105_1 - 184105_6, 2003/11
被引用回数:34 パーセンタイル:79.32(Materials Science, Multidisciplinary)バルク金属ガラスの代表であるZrTiCuNiBe(vit4)の核発生並びに結晶成長における圧力効果を10GPa領域まで放射光を用いたその場エックス線実験により観測した。その結果、圧力は、過冷却液体状態を安定化させる方向に働くとともに、結晶化温度を上昇させる効果があることが明らかになった。
Wang, Z. X.*; Zhao, D. Q.*; Pan, M. X.*; Wang, W. H.*; 岡田 卓; 内海 渉
Journal of Physics; Condensed Matter, 15(35), p.5923 - 5932, 2003/09
被引用回数:26 パーセンタイル:73.73(Physics, Condensed Matter)CuZrHfTiバルク金属ガラスについて、そのガラス形成と結晶化について、常圧並びに高圧下で、カロリメトリーと放射光X線回折の手段を用いて研究を行った。その結果、ガラス形成能に関しては、適量のHfの存在がそれを高めるが、圧力はそれほどの効果をもたらさないことが明らかとなった。しかし、バルク金属ガラス相の結晶化温度は、高圧下で上昇し、圧力が結晶化を抑制する方向に働くことがわかった。
新井 栄揮; 茶竹 俊行; 峯崎 善章*; 新村 信雄
Acta Crystallographica Section D, 58(Part 1), p.151 - 153, 2002/01
被引用回数:23 パーセンタイル:81.54(Biochemical Research Methods)B型DNA+量体d(CCATTAATGG)を用い、結晶化の相図を作製することにより、中性子結晶回折実験に適した巨大単結晶を得ることに成功した。30%(v/v)のMPD(2-methyl-2,4-pentandiol)存在下において作製したDNAとMgCl濃度に関する相図では、MgClが~100mM近傍でDNAの溶解度が最小になることが判明した。この溶解度最小付近の溶液条件で得たDNA結晶は1.71.30.6mmの体積を有し、中性子回折実験に十分適していることが判明した。
Rong, L.*; Yamane, T.*; 新村 信雄
Journal of Crystal Growth, 217(1-2), p.161 - 169, 2000/07
被引用回数:27 パーセンタイル:84.43(Crystallography)ニワトリ卵白リゾチームの正方晶系相の(110)面の[001]方向への結晶成長速度を、AFMで直接、(110)面を観察しながら、過飽和度の関数として求めた。結晶成長速度は過飽和の増加とともに増加するが、成長速度のキネマティカル解析から、結晶成長単位は分子2量体であることが判明した。また、これは、AFM観察像のステップ高さが、常にダイマーの高さであることとも符合する。
朝岡 秀人; 斉木 幸一郎*; 小間 篤*; 山本 博之
Physica B; Condensed Matter, 284-288, p.2101 - 2102, 2000/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Condensed Matter)Si21基板上へのSrO薄膜作製のためにさまざまな試みがなされているが、Si(100)面上へのSrOのエピタキシャル成長は困難であり、得られる薄膜の結晶性、界面上のSiO等の存在が問題とされている。そこで水素終端したSi(100)基板を用いたSrOのエピタキシャル成長の可能性を探るとともに、RHEED,AES,ESCA等によるSi界面、SrO薄膜の評価を行った。
斎藤 保; 馬場 信一; 衛藤 基邦
JAERI-Research 99-070, p.21 - 0, 2000/01
次世代の高性能材料の一つとしてC/C複合材料は原子力の分野でも注目されている。この材料のもつ軽量で機械的強度が高く、優れた熱特性を示すという利点は主原料となる炭素繊維の特性を生かしたもので、繊維を改良することによりC/C材の機能性をさらに高めることができる。本研究は炭素繊維の高性能化に必要な基礎データを得ることを目的としたもので、繊維の引張特性に及ぼす加熱処理温度の影響を検討した。最高2800までの所定の温度で加熱処理したPAN系繊維について引張強度とヤング率の変化を測定し、同繊維の熱処理にともなう結晶構造の変化との関係を検討した。その結果、炭素繊維のヤング率の増加を結晶子の配向性の変化と関連づける既存のモデルを改良したほか、繊維の破断強度の低下に及ぼす結晶成長の影響について論じた。
新村 信雄; 峯崎 善章; 田中 伊知朗*; 藤原 悟; 安宅 光雄*
Journal of Crystal Growth, 200, p.265 - 270, 1999/00
被引用回数:14 パーセンタイル:70.47(Crystallography)ニワトリ卵白リゾチームは未飽和溶液中で既に凝集体を形成している。この凝集体と過飽和溶液中で存在する凝集体の関連を中性子コントラスト変調法により研究した。それによると、未飽和溶液中の凝集体は分子が平行に並んだ構造(極性構造)をとっている。一方、過飽和液中から生成する結晶中の分子の配列は非極性である。つまり、未飽和中に存在する凝集体は、結晶の前駆体ではないと結論付けられる。
新村 信雄*
JAERI-Conf 96-001, 149 Pages, 1996/02
平成7年10月25,26日に、東海研で生体物質中性子回折に関するセミナーが開催された。大学、研究所及び民間企業から、約43名の出席があり、9件の講演がなされた。この報文集は、講演者が講演に用いた図表等の関係資料をまとめたものである。
新村 信雄*; 峯崎 善章; 安宅 光雄*; 曽良 達生*
Journal of Crystal Growth, 154, p.136 - 144, 1995/00
被引用回数:72 パーセンタイル:97.57(Crystallography)生体物質は3次元立体構造を形成して、生理機能を発揮する。3次元立体構造の解明には、生体物質単結晶が試料として必須である。生体物質単結晶成長は、現在殆どが試行錯誤で行われている。生体物質単結晶成長メカニズムの研究は、制御された単結晶成長法の開発に必要である。本論文は、時分割中性子小角散乱法により、リゾチーム・タンパク質が結晶成長していく過程をその場観察した結果をまとめたもので、従来全く考えられていない新しいモデルを提案することができた。
新村 信雄*; 安宅 光雄*; 峯崎 善章; 曽良 達生*
Physica B; Condensed Matter, 213-214, p.745 - 747, 1995/00
被引用回数:7 パーセンタイル:45.21(Physics, Condensed Matter)中性子小角散乱法で、リゾチーム・過飽和水溶液から、結晶が成長を始める過程を観察した。その結果、次のようなことが判明した。リゾチームは過飽和水溶液では、先ず、2種類の凝集体を形成する。一つは、TypeIと呼ばれるもので、大きさの異なる数100以上の半径を有する凝集体で、時間経過に対して、さ程敏感な構造変化をしない。もう一つは、TypeIIと呼ばれるもので、回転半径は25位の凝集体である。TypeIIの凝集体は、時間経過と共に回転半径が40位まで大きくなり、(13時間経過)、再び減少始める。この回転半径の減少が、新たな結晶核形成に関与していると考えられる。